公開日:2025年2月13日
最終更新日:2025年2月13日
産後
悪露とは?|産後の体や運動との関係を解説

産後は、悪露(おろ)という血のような分泌物が排出されます。これは、出産後に誰でも経験するもので、生理と似ていますが全く異なるものです。
悪露の期間や量には個人差がありますが、なかなか終わらないために「いつまで続くのか」「増えたり減ったりしても大丈夫なのか」と不安に思うこともあるでしょう。また、妊娠前に運動をしていた方や、体型が気になる方は、「そろそろ体を動かしてもいいのかな」「悪露が出ている間は無理なのかな」と迷うこともあるかもしれません。
この記事では、悪露の基礎知識や産後の体の変化について詳しく解説します。正しい知識を身につけて、安心して毎日を過ごすためのヒントをお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
悪露とは
悪露は、出産後に子宮内から排出される分泌物のことです。
産後、子宮は妊娠前の状態に戻るために収縮を繰り返します。その際に、胎盤剥離部からの出血やリンパ液、粘液、残った卵膜(胎盤を覆う膜)の一部などが、子宮の収縮によって排出されます。これが悪露です。
悪露が続く日数や量には個人差がありますが、一般的には産後2〜3日がピークで、徐々に量が減っていきます。6週間前後で終わることが多いです。
悪露の変化
悪露は、少しずつ変化していきます。一般的には、以下のように変わります。
時期 | 色 | 量 |
---|---|---|
産後1〜4日 | 赤色 | 多い |
産後5日〜2週目 | 茶色〜褐色 | 少しずつ減る |
産後3週目〜 | 黄色〜白色 | だんだんなくなっていく |
悪露の量は、日によって、タイミングによって変化します。時には少し増えることもあるかもしれませんが、色がこのように変化していて、量が減少傾向にある場合は、多少の増減があっても正常な状態であると判断して構わないでしょう。
悪露が出るのは良いこと?悪いこと?

悪露が出るのは、自然なことであり、必要なことです。
「体を動かすと悪露が増える」
「産後の肥立ちまでは安静に」
昔はこのようにいわれていたため、悪露が出続けることや量の変化が気になる方もいるかもしれません。しかし、悪露は子宮に残った不要なものが排出されている状態であり、体が妊娠前の状態に向かって正常に回復している証拠なのです。
もしも子宮があまり収縮せず、悪露が体内に残ってしまうと、感染症や新たな病気を引き起こす原因になることがあります。子宮が正しく収縮せず、元に戻らないことを「子宮復古不全」といい、子宮復古不全と診断された場合は、子宮収縮剤などを使って治療することになります。
悪露と産後の体の動かし方

出産後、体を動かすことに不安を感じる方も多いかもしれません。「悪露が出ている間は運動しない方が良いのでは」と不安になることもあるかもしれませんが、無理のないペースで適度に体を動かすことは、悪露の排出を助けるだけでなく、体力回復や気分転換にも役立ちます。
ここでは、悪露と運動の関係や、産後の体に優しい運動について解説します。
産後に体を動かすとどうなる?
産後に体を動かすと、一時的に悪露が増えることがあります。しかし、これは体が回復する過程で排出されるべきものが外に出ている現象なので、心配する必要はありません。体を動かすことで子宮が収縮し、排出が促されたと考えて良いでしょう。
ただし、鮮血のような赤い悪露が続く場合や、量が急増して減らない場合は、無理をせず、医師に相談してください。
産後に始めやすい運動
体調が順調に回復している場合は、以下のような運動から始めると良いでしょう。
- ストレッチ
- ゆっくりしたペースのウォーキング
- 産褥体操(さんじょくたいそう)
- 産後ヨガ
産褥体操とは、産後の体の回復を促すために考えられた軽いエクササイズのことで、出産で大きな負担を受けた体を無理なく動かし、子宮の回復や血流の改善、筋力の回復を助ける目的で行われるものです。
産褥体操については以下の記事で紹介していますので、あわせてご覧ください。
▶︎ 産褥体操とは|産後の体の回復と将来のトラブルを防ぐエクササイズ
骨盤底筋や体幹を鍛えるトレーニングやストレッチは、産後すぐから行えます。腰痛や疲労、尿漏れ、臓器下垂の予防にもつながるため、早めに始めることが推奨されます。ただし、帝王切開で出産した場合は、1か月健診時に医師に確認してから始めましょう。
また、マムアップパーク by 健幸スマイルスタジオでは、産前産後の女性に特化した、安全なエクササイズを紹介しています。オンラインで、自分の体調に合わせて行えるプログラムなので、産後に「ちょっと体を動かしたいな」と思ったときに安心してご参加いただけます。同じ時期に出産を経験した皆さんとの交流や、専門家への質問もできるので、ぜひ一度体験してみませんか。
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妊娠前に行っていた運動・スポーツの再開のタイミング
子宮は約1ヶ月で元の大きさに戻ります。体調に問題がなければ、妊娠前に行っていた運動は1ヶ月健診を待って再開しましょう。
ただし、不安がある場合は、1ヶ月健診の際に医師に相談することをおすすめします。体の状態に合わせて、無理のないタイミングで始めましょう。
悪露と産後の運動に関するよくある質問とその回答
産後は、体の状態が日々変化するため、運動を始めるタイミングや悪露との関係に不安を感じる方も多いのではないでしょうか。ここでは、産後の運動に関するよくある疑問を取り上げ、分かりやすく解説します。
Q:悪露と生理の違いは?
悪露と生理は、似ているようでいて、全く異なるものです。
悪露とは
悪露は、出産後に子宮が元の状態に戻る過程で排出されるものです。主に、胎盤剥離部からの出血やリンパ液、粘液、残った卵膜(胎盤を覆う膜)の一部などが含まれていて、通常は4〜6週間で終了します。
生理とは
生理は、ホルモンバランスの変化によって子宮内膜が剥がれ落ちる現象です。産後の再開時期は人によって異なり、2ヶ月ほどで再開する人もいれば、母乳育児中は再開しない人もいます。
Q:産後、入浴はいつからできますか。
一般的に、悪露の大部分が排出された頃を見計らって入浴を再開するよう指導されることが多いです。
一方で、体を温めて血流を促すことは、体調の回復を助ける効果があるとされています。入浴ができるようになるまでは、シャワーや温かいタオルで体を拭くなど、他の方法で体を温めることをおすすめします。
Q:産褥体操や産後に体を動かすことで、どんな効果が期待できますか。
産後に無理なく体を動かすことにより、以下のような効果が期待できます。
体の回復
体を動かすことで、筋力の回復が図れます。また、産褥体操などで骨盤底筋を鍛えることは、将来の尿漏れなどの予防にもつながります。
気分の落ち込みの軽減
最近の研究によって、軽い運動を取り入れることで、産後特有の気分の落ち込みを軽減できることが分かりました。適度に体を動かすことは、体と心の健康に役立ちます。無理のない範囲で、体調に合わせながら少しずつ体を動かしていきましょう。
また、気分の落ち込みを軽減するためには、人と話すのもおすすめです。マムアップパーク by 健幸スマイルスタジオは、産前産後の女性のコミュニティで、定期的にオンラインのプログラムを実施しています。妊娠中でも産後でも参加できる安全なエクササイズを行った後、ミニ講座や交流の時間が設けられているので、人と話してリフレッシュしたい方にピッタリです。同じ時期に出産を経験した女性のグループなので、情報交換や相談にもぜひご活用ください。専門家への相談も受け付けています。
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Q:産後に体型が戻るまでには、どれくらい時間がかかりますか。
体型の回復には個人差がありますが、6ヶ月から1年ほどかけてゆっくり戻していくのが理想です。急激なダイエットや過度な運動は体調を崩す原因となるため、焦らず、健康を第一にして過ごしましょう。
Q:産後に避けた方が良い運動はありますか。
産後は、自分の体調に合わせて少しずつ体を動かしていくことが大切です。激しいスポーツは、子宮が元に戻ってから再開しましょう。
腹圧とは、お腹にかかる圧力のことを指します。産後の回復期に強い腹圧をかけると、骨盤底筋や子宮に負担がかかることがあるので、産後すぐの時期には避けた方が良いでしょう。
まとめ
この記事では、悪露の基礎知識や、運動との関係について紹介しました。
- 悪露とは
- 悪露と産後の体の動かし方
- 悪露と産後の運動に関するよくある質問とその回答
産後は、体の状態が日々変化する時期です。悪露の状態は気になりますが、体調を見ながら無理のない範囲で体を動かすことは、心と体の健康に役立ちます。焦らず、自分のペースで過ごすことを大切にしましょう。
監修者

北出 真理
順天堂大学医科学部 教授・医学博士
思春期から妊娠適齢期の女性の妊娠、妊孕性に関わる問題を、基礎研究・臨床研究を通じて解決することに取り組む。現在は、女性の妊娠にとって重要な子宮内膜症、早発閉経、着床不全、不育症といった分野で研究を行う。また女性スポーツ研究センターでは女性アスリートのコンディショニングを医学、栄養学の面からサポートするための診療、研究にも従事。

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