公開日:2025年1月23日
最終更新日:2025年1月23日
産後
産後の知っておきたいからだの変化とは|後陣痛や会陰部の痛み、産褥熱

出産の後には、産後ならではの症状があります。
そこでこの記事では、産後を少しでも楽に楽しく過ごせるように、今から準備しておけることについて紹介していきます。
産後の知っておきたい体の変化
妊娠中は、お腹の中で赤ちゃんを育むために、体の中で大きな変化が起こります。子宮はもちろんのこと、体のさまざまな部分が変化し、加えてホルモンバランスも変わります。
そして産後は、体が元に戻ろうとする一方で、授乳という新しいことに対応するための変化も起こります。産後ならではの体の症状は、その両方が一度に起こるからなのです。
産後の具体的な体の変化
産後のからだの変化は、小さいものまで挙げると数え切れませんが、その中でも特に、出産前には知らない人も多い事柄を紹介します。準備しておけば症状を和らげられるものもあるので、ぜひ知っておいてください。
- 後陣痛
- 会陰部の痛み
- 産褥熱
後陣痛(こうじんつう)
陣痛とは、出産の際のお腹の痛みのことを指しますが、出産後にも軽い陣痛のような症状が起こることがあります。これを、後陣痛といいます。初産婦では、子宮収縮が比較的穏やかであることが多く、後陣痛を感じない場合もあります。
出産前の陣痛は、赤ちゃんが生まれるために子宮が収縮することで起こります。そして後陣痛は、出産後、子宮が元に戻ろうとするために起こります。
後陣痛は、一般的には出産前の陣痛より痛みが軽く、通常は数日で和らぎます。後陣痛が特に強く感じられる場合は、授乳中でも使用できる鎮痛剤を処方される場合があります。つらいときは医師に相談しましょう。
後陣痛に関するQ&A
Q:授乳中に痛みが出るのはなぜですか。
授乳時に分泌されるオキシトシンというホルモンの影響で子宮が収縮しやすいためです。

Q:帝王切開でも後陣痛は起こりますか。
帝王切開でも、後陣痛は起こります。
自然分娩と同じように子宮が元に戻る力がはたらくため、収縮の際に痛みが出やすくなります。ただ、切開の傷と近いため、どちらの痛みなのかが分かりにくいこともあります。
会陰部の痛み
産後は、会陰部の痛みが出ることもあります。
痛みの原因は複数ありますが、主に、会陰切開や裂傷の傷によって痛みを感じることがあります。
会陰切開は出産における適切な処置なので、心配する必要はありません。切開は、このままでは裂傷してしまうと判断されたときに行われるもので、裂傷よりも綺麗な傷になり、縫合しやすいため、実は自然に起こる裂傷より早く回復するうえに、痛みが少なく済むことが多いのです。
会陰部の痛みがある場合でも、産後数日間で徐々におさまっていきます。
会陰部の痛みに関するQ&A
Q:会陰部の裂傷や切開を避ける方法はありますか。
裂傷や切開を避ける方法として、会陰マッサージの指導を受けることがあります。オイルなどを使用してマッサージを行い、会陰部をやわらかくしておくことで、伸縮しやすくなるというメリットがあります。
ただし、適切に行う必要があるため、医師や助産師の指導を受けてから行いましょう。
Q:会陰部に痛みがある場合、緩和する方法はありますか。
会陰部の痛みは産後数日で徐々に和らぎますが、痛みがつらいときは医師や看護師に相談しましょう。
産院によっては部屋にドーナツクッションが用意されていることがあります。ドーナツのように中央に穴が空いているため、椅子に座ったときに傷を押さえつけられないため痛みが緩和されることがあります。
また、清潔な保冷剤や冷たいタオルをガーゼに包み、会陰部に当て冷却によって炎症や腫れが軽減され、痛みが和らぎます。ただし、直接肌に保冷剤を当てると凍傷になる恐れがあるため、必ず布で包んで使用してください。
また、悪露を吸収するパッドをこまめに交換し、シャワーで会陰部を優しく洗い会陰部の清潔を保つことで、感染を防ぎ、治癒を促進します。ただ、あまりにもつらい時は、医師から授乳中でも使用可能な鎮痛剤を処方してもらうこともできるので医師に相談してください。
産褥熱(さんじょくねつ)

産褥熱とは、出産後に起こる38度以上の発熱です。
子宮内や傷口などの感染症によって熱が出るもので、その熱によって悪露に変化が起こったり、下腹部に強い痛みを感じたりすることがあります。感染が原因の場合、適切な治療を行わないと症状が悪化する可能性があります。必ず医師の診察を受けてください。
産褥熱に関するQ&A
Q:授乳をしたいので、熱が下がったら薬をやめてもいいですか
薬は、医師が必要と診断して処方しているものなので、自己判断で中止するのはやめましょう。熱が下がったからといって、原因が完治しているとは限りません。治療を中断すると長引くこともあるので、必ず医師に相談しましょう。
Q:産褥熱は安静にしていれば下がりますか。
産後に高熱が出た場合は、放置せずに受診しましょう。傷などの感染による熱の場合、放置することで感染が広がり、悪化する恐れがあるためです。
産後に起こりやすいその他の症状
産後に起こりやすい症状には、他にも以下のようなものがあります。
- 乳腺炎など授乳のトラブル
- むくみや抜け毛
- 悪露
それぞれの対処法は、以下の記事で紹介しています。ぜひ合わせてご覧ください。
まとめ
この記事では、産後の症状について紹介しました。
- 産後の知っておきたいからだの変化とは?知っておきたい体の変化
- 産後の具体的な体の変化
- 産後に起こりやすいその他の症状
産後には特有の症状が起こることがありますが、事前に知っておくことで軽減できたり、慌てず対処できたりすることも多いです。
体が元に戻っていない間は、周囲のサポートを受けながら、無理せず体を休めて回復に努めましょう。
監修者

塚尾 晶子
株式会社つくばウエルネスリサーチ 取締役副社長/筑波大学スマートウエルネスシティ政策開発研究センターアドバイザー/保健師
筑波大学大学院人間総合科学研究科博士課程修了 博士(スポーツウエルネス学)/ 専門領域はスポーツウエルネス学、保健学、人間環境学、公衆衛生学。
旭化成株式会社での産業保健活動、日本看護協会での健康政策の厚生労働省委託事業推進や保健師現任教育、法政大学での兼任講師等を経て、現職。地方自治体、企業等のSmart Wellness City(健康都市政策)推進のコンサルティング、人材育成、国の調査研究事業等に従事し、国や地方自 治体や大学、企業と連携して健康づくり無関心層を減少させ健康格差を和らげる政策に取り組む。

おすすめ記事
TOPに戻る