公開日:2025年2月13日
最終更新日:2025年2月13日
産前
つわりのつらさを軽減するために、周囲の人にできること

つわりは、主に妊娠初期に見られる吐き気や食欲不振、嘔吐などの症状です。この症状は人によって大きく異なり、そのつらさは周囲からは見えにくいものです。しかし、周囲の人の適切な配慮と気遣いによって、つらい症状との向き合い方が変わってきます。
この記事では、妊婦さんのつわりのつらさを軽減するために、周囲ができるサポートについて紹介します。
目次
つわりについて知っておきたいこと

つわりは、経験してみないと分からない症状です。以下のような点を、周囲が理解してあげましょう。
- つわりの症状は人によって異なる
- 体調は日によって変わる
- 精神的な負担が大きい
つわりの症状は人によって異なる
つわりの症状は、人によって大きく異なります。吐き気に悩む人もいれば、特定のにおいに敏感になる人もいます。空腹になると辛くなることもあれば、それまで好きだった食べ物をある日突然受け付けなくなったり、逆に普段は食べないものが食べたくなったりすることも珍しくありません。空腹症状の程度も人それぞれで、日常生活にほとんど支障がない人もいれば、起き上がることすら困難な人もいます。
「あの人は大丈夫だったのに」といった比較をしないよう、本人の体調に合わせて対応してあげることが大切です。
体調は日によって変わる
つわりのつらさは、時間帯や日によっても変化します。朝につらくなる人もいれば、夕方になると具合が悪くなる人もいます。
「昨日は大丈夫だった」「さっきまで平気だった」というように、体調は突然変化します。その日の気分で食べられるものが変わったり、我慢できるにおいが変わったりするのは、つわりならではの特徴です。
精神的な負担が大きい
つわりによる精神的な負担はとても大きなものです。
「今日は食事の支度ができない」「掃除機の音が響く」「洗濯物のにおいに耐えられない」など、普段なら何でもないことが、とてもつらく感じる時期なのです。そのため、この時期は体調に合わせて過ごすことが大切です。
周囲が寄り添い、受け止めてあげることで、本人の精神的な負担を少しでも軽減してあげましょう。
妊婦さんに寄り添うサポート方法

つわりの時期には、家族皆で寄り添い、サポートしてあげましょう。ここでは、家庭でできる具体的なサポート方法を紹介します。
つわりのサポートについての基本的な考え方
つわりのある人へのサポートで最も大切なのは、その日その時の体調に合わせた対応です。本人から言い出すのは心苦しいことも多いので、「何をして欲しい?」「今は何が必要?」と具体的に聞いてあげると、妊婦さんがお願いしやすくなります。
生活環境を調整する
家庭では、体調に合わせて生活環境を整えてあげましょう。換気をこまめにする、強い香りのある柔軟剤や芳香剤の使用を控える、調理の際は換気扇を回すなど、細やかな配慮が必要です。
周囲の人には気付きにくいこともあるので、妊婦さん本人が言い出しやすい環境を作りましょう。
家事のサポートをする
家事が思うようにできない状況は、精神的な負担になりやすいものです。しかし、周囲がすべてを抱えるのは現実的ではありません。そこで、役割分担を相談して、「ここまでは最低限やる」と決めておくのも良い方法です。
家事はストレスの原因になりやすい面もあるため、お互いを思いやる姿勢が何より大切です。
上の子へのケア
上の子がいる場合は、上の子に寄り添ってあげることも必要です。普段なら何でもない「抱っこして」という言葉や、いつもは楽しい子どもの声でさえ、つわりがひどい時は大きな負担となります。上の子の送り迎え、食事の準備、お風呂、寝かしつけなどの日常的なケアは、周囲の人が積極的に担当しましょう。
また、お母さんの体調が悪いと、上の子がとても寂しく不安な気持ちになります。「ママはつらいんだから我慢しなさい」「お利口にしていなさい」といった言葉は、子どもの気持ちを否定することになるので控えましょう。代わりに、他の家族が上の子と公園に行ったり、遊んだり、たくさんスキンシップを取ったりして、普段以上に愛情をかけることが大切です。子どもの「寂しい」「構ってほしい」というサインを見逃さず、十分な愛情で包んであげましょう。
職場でのサポート方法

つわりがあっても、職場ではなかなか言い出せないこともあります。そこで、周囲がどう対応したら良いのかを具体的に紹介します。
つわりのある人の職場での困りごと
普段は何でもない職場の環境が、つわりの時期はとても大きな負担になることがあります。たとえば、以下のような困りごとがあります。
- 香水やハンドクリームの香りに耐えられない
- コーヒーのにおいで吐き気をもよおす
- 昼食時の室内のにおいがつらい
- 吐き気があっても離席しにくい
- 長時間の会議がつらい
- 立ちっぱなしがつらい
- 水を飲めないことがある
こうした状況でも、周囲に迷惑をかけたくないと我慢する人が多いのが現状です。
職場の同僚にできること
つわりのある人への接し方は、難しいものです。人によって症状が異なり、状況も立場もさまざまなため、どう声をかけたら良いのか、どう配慮したら良いのか迷うことでしょう。
しかし、何もできないかもしれないと考えて距離を置くよりも、「何か困っていることはある?」「できることがあれば教えてほしい」と声をかけることから始めてみましょう。本人からは言い出せないことがあっても、聞いてもらえれば伝えられるかもしれません。状況に応じて、少し気遣ってあげてみてください。
まとめ
この記事では、つわりの時期に周囲ができることについてまとめました。
- つわりについて知っておきたいこと
- 妊婦さんに寄り添うサポート方法
- 職場でのサポート方法
つわりの時期は、体調が悪いうえに、周囲に迷惑をかけているのではないかという気がかりもあり、妊婦さんにとってつらいことも多いものです。
周囲のちょっとした心配りが、本人にとっては大きな支えになるでしょう。
監修者

北出 真理
順天堂大学医科学部 教授・医学博士
思春期から妊娠適齢期の女性の妊娠、妊孕性に関わる問題を、基礎研究・臨床研究を通じて解決することに取り組む。現在は、女性の妊娠にとって重要な子宮内膜症、早発閉経、着床不全、不育症といった分野で研究を行う。また女性スポーツ研究センターでは女性アスリートのコンディショニングを医学、栄養学の面からサポートするための診療、研究にも従事。

おすすめ記事
TOPに戻る