公開日:2025年2月13日
最終更新日:2025年2月13日
産前
妊娠後期の赤ちゃんの発育とママの体の変化

妊娠後期は、赤ちゃんが出産に向けて体の準備を整え、ママの体も大きな変化を迎える時期です。この時期の赤ちゃんの発育とママの体調変化を詳しく知り、安心して出産の日を迎えましょう。
目次
妊娠28週〜32週:赤ちゃんの体重が急激に増える
妊娠後期に入ると、赤ちゃんの様子もママの体調も、日々変わります。
赤ちゃんの発育
妊娠28週を過ぎると、赤ちゃんは急速に成長します。
脳や神経回路がさらに発達し、外部の環境(音や光、ママのお腹をなでる動作など)に反応することも増えていきます。また、呼吸器が完成に近付いていて、出産後の呼吸の練習のために羊水を吸い込む動作を続けているのが見られることもあるでしょう。
赤ちゃんの体長は約40cm、体重は約1.5kgになります。皮下脂肪がつきはじめ、赤ちゃんらしい体に変わっていきます。
ママに起こる変化
この時期になると、ママの体にさらに大きな変化が現れます。
子宮が大きくなって、胃や肺を圧迫するため、胃の調子が悪くなったり、呼吸が苦しくなったりすることがあります。また、血流が増えて心臓に負担がかかるため、動悸が激しくなったり、疲れやすくなったりすることもあるでしょう。
また、子宮が大きくなってリンパを圧迫することで血流が滞り、むくみに悩まされることが増えるかもしれません。むくみは特に足首や手首に起こりやすく、朝起きた時より夕方に症状が強くなる傾向があります。
なお、お腹が大きくなると体重もさらに増えやすくなりますが、安全な出産のためには適切な体重管理を心がけることが大切です。妊娠後期の推奨体重増加量は、一般的には1週間あたり約250gが目安とされていますが、健診時に相談して、様子をみながら体調を整えていきましょう。
妊娠33週〜36週:赤ちゃんが産まれる準備を始める

妊娠33週を過ぎると、母子ともにいろいろな変化が見られるようになります。
赤ちゃんの発育
赤ちゃんの体重は2kgを超え、肝臓や腎臓などの内臓機能も完成に近付きます。
出産準備を始める時期で、頭を下に下げた姿勢(頭位)になり、胎動が感じられにくくなる時期です。逆子の場合には、逆子体操などを行うように指導されます。
ママに起こる変化
赤ちゃんが下がり始めることによって、体調の変化が見られる人も多いでしょう。子宮が膀胱を圧迫するため頻尿になりやすく、胃も圧迫されるため、全体的に苦しいと感じることが増えるかもしれません。
なお、この時期にお腹の張りが頻繁にある場合は。早産の兆候かもしれませんので、すぐに健診で相談しましょう。
注意したい健康管理
- 早産
早産とは、妊娠37週より前に赤ちゃんが生まれることをいいます。早産の場合、赤ちゃんの臓器などが十分に発育する前に生まれるため、肺が十分に膨らまなかったり、消化活動が正常に行われなかったりすることがあります。
また、34週以前に生まれた場合は、免疫が未熟なため感染症にかかりやすく、重症化しやすいことも大きなリスクです。
<早産の兆候>
早産の兆候には、以下のようなものがあります。
- お腹の張りや痛みが規則的に続く(陣痛のような症状)
- 突然の破水(羊水が漏れる感覚)
- 性器からの出血
- 下腹部に強い違和感や圧迫感
これらの症状が見られる場合は、早産の可能性があります。
<早産のリスクを高める要因>
早産は、以下の要因によって引き起こされることがありますが、根本的な要因は特定できないことも多いです。
- 多胎妊娠(双子や三つ子などの場合)
- 頸管無力症
- 過去にも早産を経験している
- 感染症
- 喫煙
<早産の兆候が見られた場合の対応>
早産の兆候がある場合は、できる限り早い対処が必要なので、すぐに医療機関を受診しましょう。
妊娠37週〜40週:出産を迎える

妊娠37週を過ぎたら、もういつ陣痛がきてもおかしくはありません。出産に備えて準備をしておきましょう。
赤ちゃんの発育
妊娠37週以降は、早産ではなく正期産とされ、赤ちゃんが生まれる準備が整った状態です。赤ちゃんの体重は3kg前後になり、肺も完成して、出産後すぐに呼吸ができる状態になっています。
また、この時期には胎盤を通して抗体が赤ちゃんに渡り、感染症への抵抗力をつけるようになる大事な時期でもあります。体調を整え、ゆったり過ごしましょう。
ママに起こる変化
ママの体は出産に向けてさらに変化し、陣痛の準備が始まります。前駆陣痛といって、軽い陣痛のような収縮が時おり感じられる人もいます。前駆陣痛は本陣痛の前に起こる子宮の収縮で、不規則で痛みも弱く、休むとおさまるのが特徴です。
お腹の張りが頻繁にある場合や、痛みが規則的になってきた場合、おしるしがあった場合は、本陣痛の可能性があるためすぐに病院に連絡をしましょう。
まとめ
この記事では、妊娠後期の赤ちゃんの発育とママの体の変化について解説しました。
妊娠は赤ちゃんとママがともに成長していく特別な時間です。妊娠初期は赤ちゃんの命が宿り、器官が作られる重要な時期。中期になると体調が安定し、胎動を感じられるようになります。後期では赤ちゃんが出産の準備を整え、ママの体も変化に対応していきます。
それぞれの時期で起こる変化を理解し、適切なケアを心がけることで、安心して妊娠生活を送ることができます。定期健診を受けながら、赤ちゃんと一緒に健康な時間を過ごしてください。
監修者

北出 真理
順天堂大学医科学部 教授・医学博士
思春期から妊娠適齢期の女性の妊娠、妊孕性に関わる問題を、基礎研究・臨床研究を通じて解決することに取り組む。現在は、女性の妊娠にとって重要な子宮内膜症、早発閉経、着床不全、不育症といった分野で研究を行う。また女性スポーツ研究センターでは女性アスリートのコンディショニングを医学、栄養学の面からサポートするための診療、研究にも従事。

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