公開日:2025年2月13日

最終更新日:2025年2月13日

産前

妊娠中期の赤ちゃんの発育とママの体の変化

妊娠中期には、赤ちゃんが大きくなるとともに、ママの体調が安定して過ごしやすくなります。この時期の赤ちゃんの発育とママの体調変化を詳しく知っておきましょう。

妊娠16週〜20週:胎動を感じることがある

妊娠中期に入ると、赤ちゃんの動きが活発になり、お腹が大きくなってきます。体調の変化が起こることもあります。

赤ちゃんがどのように成長しているのかを知っておきましょう。

赤ちゃんの発育

妊娠16週を過ぎると、赤ちゃんの体が大きくなり、体重も増えていきます。エコーで手足を動かす姿が見られたり、性別が判断できたりすることもあるため、健診で確認するのが待ち遠しいという人も多いのではないでしょうか。

少しずつ筋肉が発達し、活発に動く準備を始めています。この頃までに、赤ちゃんの体長は約16cm、体重は約300gになります。

ママに起こる変化

この時期になると、ママの体調は比較的安定し、体は重いものの、生活がしやすくなっていきます。

また、そろそろ胎動を感じ始める人もいるでしょう。個人差がありますが、初めての妊娠では20週前後、2回目以降では18週前後から感じ始めることが多いようです。

最初の胎動は「お腹の中で蝶々が羽ばたいているような」「シャボン玉が弾けるような」といった言い方で表現されるほど、かすかな感覚です。徐々に動きは強くなっていき、お腹に手を当てて感じられるようになるでしょう。

この頃には、お腹が大きくなり、妊娠前の洋服が着られなくなります。お腹が大きくなるにつれて、むくみや体の重さが気になり始めることもあるかもしれません。

また、貧血やカルシウム不足になりやすいので、意識して摂取を心がけましょう。

妊娠21週〜27週:臓器の成長が進む

妊娠21〜27週は、赤ちゃんの臓器が本格的に機能し始める大切な時期です。この期間には、以下のような発達が見られます。

赤ちゃんの発育

脳や神経系が成長し始め、外部の刺激に反応するようになります。また、羊水を吸い込むような動きが見られることがありますが、これは、呼吸の練習です。

この頃には赤ちゃんの体長が30cmを超え、体重は1kg程度になります。

ママに起こる変化

妊娠後期に近付くと、ママの体が大きく変化します。お腹が大きくなることで、腰痛や背中の痛みなどを感じるようになったり、便秘に悩まされたりすることもあるでしょう。

また、体重が増えやすい時期ですが、過剰に増やしてしまうと、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病のリスクが高まり、分娩が長引きやすくなることから、病院で指導をされる場合もあります。

一方、最近の研究において、妊娠中の体重増加が不十分な場合に、低出生体重児のリスクがあることもわかってきました。

母子の健康のためには、適正な体重増加を目指すことが大切です。食生活を整え、妊婦向けのヨガなどで無理なく体を動かして体調を整えましょう。

注意したい健康管理

  • 妊娠糖尿病

妊娠糖尿病とは、妊娠中に、ホルモンバランスの変化などが原因で発症する糖尿病です。

妊娠中は、胎盤から通常とは異なるホルモンが分泌されます。そのホルモンの影響で、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの作用が弱まり、血糖値が上昇しやすくなります。こうした血糖値の上昇によって発症するのが、妊娠糖尿病です。

妊娠糖尿病は、妊娠前には糖尿病と診断されていなかった人の病気です。出産後に回復するのが一般的ですが、将来的に糖尿病となる可能性が高いとされています。

 

<妊娠糖尿病が及ぼす影響>

妊娠糖尿病になると、羊水の過多・過少や妊娠高血圧症候群、赤ちゃんの心臓肥大や多血症、死産、出生後の低血糖などのリスクがあります。

また、分娩時の合併症(難産や胎盤の異常など)のリスクが高まるため、治療が必要です。

 

<診断方法>

主に妊娠24~28週頃の妊婦健診で、「血糖値スクリーニング検査」が行われます。これは、妊娠糖尿病の人を見つけるために行われるもので、具体的には、空腹時の血糖チェック(採血)や、尿糖チェック(尿検査)などがあります。

妊娠糖尿病が疑われる場合には、「75gブドウ糖負荷試験」を受けます。この試験では、糖分入りのジュースを飲み、その後、一定時間ごとに採血をして血糖値を調べます。

 

<治療方法>

妊娠糖尿病の治療は、以下のように行われます。

  • 食事療法: 医師や栄養士の指導のもと、適切なカロリー摂取と栄養バランスを考えた食事を行います。
  • 運動療法: 医師の指示に従い、安全な範囲で軽い運動を取り入れます。
  • インスリン治療: 血糖値がコントロールできない場合、インスリン注射を行います(インスリンは胎盤を通過しないため、赤ちゃんの体内に入ることはありません)。
  • モニタリング: 定期的に血糖値と胎児の発育状況を確認します。
  • 妊娠高血圧症候群

妊娠高血圧症候群は、妊娠中期以降、血圧が140/90mmHg以上になった場合や、尿検査で尿中タンパクが確認された場合に診断されます。

 

<妊娠高血圧症候群が及ぼす影響>

妊娠高血圧症候群になると、胎盤への血流が不足し、発育・成長が遅れたり、早産や死産のリスクが高まったりすることがあります。また、以下のような症状をを引き起こすこともあるため、早期の治療が必要です。

  • 胎盤早期剥離:胎盤が出産前に剥がれる
  • 子癇(しかん):妊娠中毒症によって起こる痙攣発作
  • HELLP(ヘルプ)症候群:溶血(赤血球がこわれる)、血小板の減少、肝逸脱酵素の上昇(肝臓の機能の異常)

<診断方法>

妊娠高血圧症候群は、妊婦健診での定期的な血圧測定や尿検査で診断されることが多いです。重症の場合は、血液検査を行って肝機能や腎機能、血小板数の異常を確認します。

 

<治療方法>

妊婦高血圧症候群と診断された場合には、食事の指導や薬物治療などが行われます。

軽症の場合は食事療法で安静を指導されますが、重症の場合は入院が必要になります。それでも改善しない場合は、週数が早くても帝王切開せざるを得ない場合もあります。妊娠高血圧症候群は早期発見が重要なので、定期的な妊婦健診を必ず受けましょう。

まとめ

この記事では、妊娠中期の赤ちゃんの発育とママの体の変化について紹介しました。

こちらの記事では、妊娠後期について紹介しています。

監修者

北出 真理

 

順天堂大学医科学部 教授・医学博士

 

思春期から妊娠適齢期の女性の妊娠、妊孕性に関わる問題を、基礎研究・臨床研究を通じて解決することに取り組む。現在は、女性の妊娠にとって重要な子宮内膜症、早発閉経、着床不全、不育症といった分野で研究を行う。また女性スポーツ研究センターでは女性アスリートのコンディショニングを医学、栄養学の面からサポートするための診療、研究にも従事。

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