公開日:2025年2月13日
最終更新日:2025年2月13日
産前
妊娠初期の赤ちゃんの発育とママの体の変化

妊娠初期は、赤ちゃんの命が芽生え、育まれ始める時期です。それにともなって、ママの体調にも変化が起こり始めます。
この時期のことを正しく知って、安心して赤ちゃんと一緒に過ごす準備を始めましょう。この記事では、妊娠初期の赤ちゃんの発育とママの体の変化について、わかりやすくお伝えします。
目次
妊娠0週〜4週:小さな命が宿る
妊娠の開始は、最終月経の初日を0週0日とする方法で計算されます。排卵日を2週0日とする方法もあります。
赤ちゃんの発育
妊娠2週の頃に排卵があり、卵子と精子が受精します。受精卵は細胞分裂をしながら発育し、5〜7日で「胚盤胞(はいばんほう)」になります。胚盤胞とは、受精後5〜7日目の着床直前の胚のことをいいます。さらに細胞分裂を繰り返しながら子宮腔へ移動して子宮内膜に着床します。
この過程で「胚外組織(はいがいそしき)」が発達し、胎盤の基礎が作られます。胚外組織とは、胎盤や羊膜など、赤ちゃんを支える重要な役割を担う組織です。
ママに起こる変化
月経の遅延によって、妊娠に気付き始める時期です。
乳房のはり感、帯下(たいげ:おりもの)の増量、少量の出血などが見られたり、微熱、眠気、むくみ、下腹部の鈍痛(違和感)、胃のむかつき(嘔気)などの症状が現れたりすることがあります。
また、イライラや不安(落ち込み)、食欲の変動、頻尿、めまい・立ちくらみ、便秘、倦怠感・気力の低下などにより、普段とは異なる体調を感じることもあるでしょう。
妊娠5週〜8週:赤ちゃんの器官が形成される

妊娠5週目に入ると、赤ちゃんの成長のスピードが速くなります。
この頃は「器官形成期」と呼ばれ、心臓、脳、脊髄をはじめとする主要な器官が形成される非常に重要な段階で、催奇形性のある薬(※)やレントゲン、アルコールなどを避けなければならない時期です。
この段階での赤ちゃんの発育と、ママの体に起こる変化を詳しく見てみましょう。
(※) 催奇形性のある薬とは…赤ちゃんに奇形が生じるリスクのある薬のこと
赤ちゃんの発育
- 妊娠5週目
神経管が閉じ始めて、脳と脊髄が作られ始めます。
神経管が閉じるというのは非常に大切なプロセスで、閉じることによって脳や脊髄が正常に作られるようになります。神経管が閉じない場合、先天的な異常を引き起こすリスクがあります。
この先天異常の発症を軽減するためには葉酸が必要です。リスクを減らすために、妊娠前から葉酸の摂取を続けましょう。
また、この頃から心臓の形成が進み、6週目には拍動が確認できる場合があります。
- 妊娠6週目
腕と脚の基盤となるものが現れ、これが手足へと成長していきます。内臓器官も発達を始め、胃や腸などの消化器官が形成されます。
- 妊娠7〜8週目
赤ちゃんの目や鼻の基盤が分かり始めます。内耳や外耳の発育も進み、聴覚の基礎が作られます。
ママに起こる変化

妊娠5週目に入ると、ホルモンバランスの変化によって吐き気や嘔吐、食欲不振がみられる場合があり(つわり)、この症状は、胎盤が完成する妊娠12〜16週ごろに軽減することが多いです。
注意したい健康管理
- 葉酸の摂取
神経管閉鎖障害のリスクを減らすために、葉酸を十分に摂取することが重要です(推奨摂取量:1日400μg)。妊娠を考え始めたら葉酸の摂取もスタートし、12週までは欠かさず摂取し続けましょう。
- 無理をしない
倦怠感が続く場合は、できるだけ休息をとり、無理のない生活を心がけましょう。
妊娠9週〜12週:胎児と呼ばれるようになる
これまでは胚(胎芽)と呼ばれていた赤ちゃんが、胎児と呼ばれるようになり、臓器が本格的に機能し始める重要な時期です。また、人間らしい見た目に近付きます。
赤ちゃんの発育
- 妊娠9〜10週目
顔の輪郭がよりはっきりしてきて、目、耳、鼻が形作られ始めます。目は閉じていますが、まぶたも作られています。指ができたり、爪が作られたりするのもこの頃です。
また、肝臓と心臓が発達して、血液が全身に送られるようになります。
- 妊娠11〜12週目
胎盤は12週目までにほぼ完成し、母体と赤ちゃんの間で栄養と酸素の交換がスムーズに行われるようになります。赤ちゃんの体長は、妊娠12週で約6〜7cm、体重は約10〜15g程度になります。
ママに起こる変化
お腹が膨らみ始め、目立つようになってきます。また、つわりが軽減し始めることも多いです。
妊娠13週〜15週:赤ちゃんの成長と母体の安定

妊娠13週から15週は、赤ちゃんがさらに成長し、ママの体調が少しずつ安定してくる時期です。この頃には、胎盤が完成します。
赤ちゃんの発育
赤ちゃんの体長(頭殿長)は妊娠13週で約7〜8cm、15週には10cm程度になります。
妊娠13週頃になると、やわらかかった骨にカルシウムやミネラルが蓄積され、固い骨が作られ始めます。エコーで、手足の動きや目や鼻などが分かることもあるでしょう。
また、内臓が発達し、羊水を飲み込んだり、尿を羊水の中に排出したりするようになります。
ママに起こる変化
おなかの膨らみが少しずつ目立つようになります。また、ホルモンの変化の影響で、肌が敏感になったり、髪質が変わったりといった変化が見られることもあるため、少し戸惑うこともあるかもしれません。
これから体がいろいろと変化していくので、ゆったり過ごしましょう。
まとめ
この記事では、妊娠初期段階の赤ちゃんの発育と、ママの体の変化について解説しました。
監修者

北出 真理
順天堂大学医科学部 教授・医学博士
思春期から妊娠適齢期の女性の妊娠、妊孕性に関わる問題を、基礎研究・臨床研究を通じて解決することに取り組む。現在は、女性の妊娠にとって重要な子宮内膜症、早発閉経、着床不全、不育症といった分野で研究を行う。また女性スポーツ研究センターでは女性アスリートのコンディショニングを医学、栄養学の面からサポートするための診療、研究にも従事。

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