公開日:2024年12月28日

最終更新日:2024年12月28日

産前

【妊娠初期の症状別】必要な栄養とその対策

妊娠初期は、体調が大きく変化する時期です。疲れやすさやお腹の張り、肌荒れなど、これまで感じたことのない症状に戸惑う方も多いかもしれません。これらの症状の背景にはさまざまな要因がありますが、必要な栄養の摂取によって改善する場合もあります。

この記事では、妊娠初期に必要な栄養素と、それを取り入れる方法をお伝えします。

妊娠初期に必要な栄養素

妊娠中は赤ちゃんの成長を支えるために、多くの栄養が必要です。ここでは、妊娠中に特に必要とされる栄養素を4種類紹介します。

 

もしかしたら、普段あまり聞かないものもあるかもしれません。また、食事で栄養バランスを完璧にするのは難しいので、サプリメントも上手に取り入れましょう。

 

  • 葉酸
  • ビタミンD
  • 鉄分
  • カルシウム

 

葉酸

葉酸は、妊婦さんにとって欠かせない大切な栄養素です。

 

特に、妊娠初期に発症しやすい神経管閉鎖障害は、葉酸の摂取によってリスクを減少させる効果があることが分かっているため、妊娠前から摂取することが推奨されています。神経管閉鎖障害とは、脳や脊髄などが正しく作られないために起こるもので、下半身の障害や、排尿・排便障害につながる「二分脊椎」や、脳が正しく作られない「無脳症」などを引き起こすものです。

 

食事だけでは妊娠中に必要な葉酸を十分に摂取するのは難しいので、サプリメントを活用しましょう。

 

  • 葉酸を含む食品例:ほうれん草、ブロッコリー、アボカド
  • 葉酸の推奨量:400~600μg/日(妊娠1か月前~妊娠12週頃まで)

 

鉄分

妊娠中は、体内の血液量が増加するため、鉄分が不足しやすくなります。妊娠中には貧血検査が行われ、必要に応じて鉄剤が処方されます。不足すると、赤ちゃんの成長に影響するだけでなく、めまいや頭痛などの症状が現れることがあります。

 

  • 鉄を多く含む食品例:赤身の肉、レバー、ほうれん草
  • 推奨量:15~20mg/日

 

※日本人の食事摂取基準(2020年版)によると、妊娠初期の女性の推奨量は15mg/日、妊娠後期にはさらに増加が推奨されます。

カルシウム

カルシウムは、赤ちゃんの骨や歯の形成に不可欠で、不足すると、お母さんの骨密度が低下したり、歯が弱くなったりすることがあります。

 

  • カルシウムを多く含む食品例:牛乳、ヨーグルト、小魚
  • 推奨量:700~1,000mg/日

 

ビタミンD

ビタミンDは、カルシウムの吸収を促進するはたらきがあります。妊娠中は、赤ちゃんの骨や歯の形成のためにビタミンDが必要ですが、十分な量を摂取するのは難しいので、サプリメントで補うと良いでしょう。

 

  • ビタミンDを多く含む食品例:鮭、サバ、卵黄、きのこ類
  • 推奨量:5~10μg/日

 

妊娠初期に起こりやすい症状と対策

妊娠初期は、赤ちゃんの重要な器官が形成される時期であり、母体も大きく変化します。この時期に栄養が不足すると、さまざまな症状として現れることがあるので注意しましょう。

以下に、妊娠初期に特に注意すべき症状と、それに関わる栄養素を紹介します。

貧血による疲労感やめまい

妊娠初期は、血液量が増加し始める時期です。鉄分が不足するとヘモグロビンが十分に作られず、酸素を十分に運べなくなるため、疲労感やめまい、息切れなどの症状が現れることがあります。

 

貧血の予防や対策に必要なのは、以下の栄養素です。

 

  • 鉄分(赤身の肉、ほうれん草、レバー)
  • ビタミンB12(魚、卵、乳製品)
  • 葉酸(ほうれん草、ブロッコリー)

 

便秘やお腹の張り

妊娠中は、いろいろな体の変化により便秘になりやすい傾向があります。特に妊娠初期には、ホルモンの変化や、つわりで水分摂取が減ってしまうことなどによっても起こりやすくなります。

 

便秘の解消に役立つ栄養素は、以下の通りです。

 

  • 食物繊維(さつまいも、豆類、果物)
  • マグネシウム(ナッツ類、全粒穀物)
  • 水分(1.5~2リットル/日を目安に)

 

こむら返り(足がつる)

こむら返りは、妊娠中によく見られる症状です。お腹が大きくなってくると、お腹を支えるために足に負担がかかり、下半身の血流が悪くなるために起こることがありますが、妊娠初期のこむら返りは水分やマグネシウムの不足が関係している可能性があります。意識して摂取するよう心がけましょう。

 

こむら返りの予防や対策に必要なのは、以下の栄養素です。

 

  • マグネシウム(ナッツ類、ほうれん草)
  • カルシウム(乳製品、小魚)
  • カリウム(バナナ、トマト、じゃがいも)

 

肌荒れや口内炎

妊娠初期には、摂取した栄養が赤ちゃんの成長に優先的に使われるため、栄養不足による肌荒れや口内炎が起こりやすくなります。特にビタミンB群やビタミンCが不足すると、肌や粘膜の健康を保つ力が弱まり、症状が悪化することがあります。

 

肌荒れや口内炎の予防や対策に必要なのは、以下の栄養素です。

 

  • ビタミンB2(卵、牛乳、レバー)
  • ビタミンC(柑橘類、パプリカ)
  • 亜鉛(牡蠣、ナッツ類)

 

むくみ

妊娠初期のむくみは、ホルモンバランスの変化や塩分の摂りすぎが原因のことがあります。また、過剰に摂取してしまった塩分の排出にはカリウムの摂取が必要です。カリウムが不足すると体内の水分バランスが崩れやすくなるため、むくみを悪化させることがあります。

 

むくみの予防や対策に必要な栄養素は、以下の通りです。

 

  • カリウム(バナナ、きゅうり、ほうれん草)
  • マグネシウム(アーモンド、豆類)
  • 水分(適量をこまめに摂取)

 

まとめ

この記事では、妊娠初期に起こりやすい症状と、必要な栄養素について紹介しました。

 

  • 妊娠初期に必要な栄養素
  • 妊娠初期に起こりやすい症状と対策

 

妊娠初期は、胎児の脳や神経管が形成される大切な時期です。サプリメントを活用しながら必要な栄養を摂取し、元気な赤ちゃんを育てましょう。

 

マムアップパーク by 健康スマイルスタジオは、妊娠16週から参加できるコミュニティです。出産を安全に迎えるために必要なエクササイズや参加者同士の交流、専門家への相談ができるため、産前産後の多くのママたちが参加しています。

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監修者

塚尾 晶子

 

株式会社つくばウエルネスリサーチ 取締役副社長/筑波大学スマートウエルネスシティ政策開発研究センターアドバイザー/保健師

 

筑波大学大学院人間総合科学研究科博士課程修了 博士(スポーツウエルネス学)/ 専門領域はスポーツウエルネス学、保健学、人間環境学、公衆衛生学。

 

旭化成株式会社での産業保健活動、日本看護協会での健康政策の厚生労働省委託事業推進や保健師現任教育、法政大学での兼任講師等を経て、現職。地方自治体、企業等のSmart Wellness City(健康都市政策)推進のコンサルティング、人材育成、国の調査研究事業等に従事し、国や地方自 治体や大学、企業と連携して健康づくり無関心層を減少させ健康格差を和らげる政策に取り組む。

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