公開日:2024年12月16日

最終更新日:2024年12月16日

産前

妊活を始める前に|妊娠準備に必要な検査と健康管理

妊活の最初のステップは、健康な妊娠のために体調を整えることです。
しっかり準備を進めることで、妊娠・出産のリスクを減らし、より安心して赤ちゃんを迎えられるようになるでしょう。

この記事では、妊娠を希望する女性とそのパートナーが知っておくべきこととして、健康管理や必要な検査について紹介します。

妊活前に行いたい健康チェック

妊娠前の検査は、胎児へのリスクを減らし、母子ともに健康な妊娠生活を迎えるための第一歩です。

風疹抗体検査と予防接種

妊娠初期に風疹に感染すると、お腹の赤ちゃんが「先天性風疹症候群」を発症する可能性があります。この症候群は、難聴や心疾患、目の異常、低出生体重などの症状を引き起こすことがあります。

 

そのため、妊娠初期の検査で必ず風疹の抗体を持っているかどうかのチェックが行われますが、妊娠後には予防接種ができないので、妊娠前に受けておくことが望まれます。

 

<主な流れ>

  1. 血液検査で、抗体の有無を調べます。
  2. 抗体がない場合は、予防接種をします。

 

風疹の抗体検査は、パートナーや家族も皆で受けておきましょう。特に、昭和37年度(1962年度)から昭和53年度(1978年度)生まれの男性は予防接種をしていない可能性があるので、検査を受けておくと安心です。

 

なお、風疹の抗体検査と予防接種は、自治体の助成制度を活用して無料で受けられる場合があります。お住まいの自治体のWebサイトで確認するか、問い合わせてみてください。

持病がある場合の事前相談

持病がある場合や、薬を服用している場合は、赤ちゃんに影響を及ぼす危険性があるため、妊活を始める前に主治医に相談しましょう。特に、以下の病気を持っている場合は適切な対応が必要です。

  • てんかんや高血圧
    服用中の薬が胎児に影響する可能性があるため、薬の変更や調整が必要です。
  • 甲状腺疾患
    妊娠中のホルモン変化により症状が悪化する可能性があるため、妊娠前に調整を行います。
  • 糖尿病
    血糖値の管理が不十分な場合に、胎児に先天異常が生じるリスクが高まります。専門医の指導を受けましょう。

レントゲン検査

妊娠中は、放射線被ばくを避けることが推奨されます。

被ばくの影響は、胎児の発育に影響を及ぼす可能性があるため、健康診断や歯科治療などで必要なレントゲン検査は妊娠前に済ませることが望ましいです。

プレコンセプションケア

プレコンセプションケアとは、妊娠を希望する女性とそのパートナーが、妊娠に向けて体調を整え、妊娠中および出産後の健康リスクを減らすためのケアのことをいいます。

自治体も普及活動に積極的に取り組んでおり、プレコンセプションケアの一環として、風疹抗体検査や健康診断の費用を助成する制度を設けている自治体があります。助成内容や条件は自治体によって異なるため、詳細はお住まいの自治体の公式ウェブサイトや窓口で確認してください。

プレコンセプションケアはどこで受けられるの?

プレコンセプションケアは、一部の産婦人科などで行っています。近隣で実施施設が見つからない場合は、自治体の子育て支援担当に問い合わせると教えてもらえます。

プレコンセプションケアは何のために行うの?

プレコンセプションケアは、妊娠の成功や母子の健康が「妊娠前の準備やケア」によって大きく左右されることから、妊娠に関連するリスクを減らし、妊娠後の合併症を予防するために行われています。

たとえば、風疹は赤ちゃんに重大な影響を及ぼすことが分かっていますが、これまでは妊娠後に検査するのが一般的でした。しかし、妊娠前に抗体検査をして、必要に応じて予防接種をすることで、妊娠中に風疹にかかるリスクを減らすことができます。

このように、妊娠前に準備しておくことで、安全な妊娠・出産につながります。そのためのケアを行うのが、プレコンセプションケアです。

プレコンセプションケアでは何をするの?

プレコンセプションケアでは、一般的に以下のようなことを行います。

内容
健康診断/検査 ・風疹抗体検査や性感染症検査
・持病のチェック
・体重や栄養状態の確認
・予防接種
生活習慣の見直し ・禁酒禁煙指導
・運動のアドバイス
・栄養指導
メンタルケア ・ストレスチェック
・カウンセリング

妊活中に見直したい生活習慣

健康な妊娠・出産のためには、生活習慣の改善も大切です。妊娠中を健やかに過ごし、元気な赤ちゃんを産むために、今から見直してみませんか。

栄養管理

栄養は食事から摂るのが理想ですが、必要な栄養を全て食事だけで賄うのは難しいのが現実です。特に以下のような栄養が必要なので、サプリメントで補うと良いでしょう。

  • 葉酸
    神経管閉鎖障害のリスクを軽減することが科学的に示されています。推奨摂取量は1日400~600μgで、食事に加えサプリメントで補うことが推奨されています。
  • 鉄分
    妊娠中の貧血予防に有効です。
  • ビタミンD
    胎児の骨形成をサポートします。

飲酒と喫煙

妊娠中の飲酒と喫煙は、重大なリスクにつながることが分かっています。特に喫煙に関しては、流産や早産、先天性異常などに関わるので、妊娠前から禁煙を始めましょう。

飲酒も、妊娠が分かったらすぐにやめる必要があります。

まとめ

この記事では、妊活を始める前に必要な検査と健康管理について紹介しました。

  • 妊活前に行いたい健康チェック
  • 妊活中に見直したい生活習慣

 

早くから準備を始めることで、妊娠中のリスクを軽減し、元気な赤ちゃんを産める体を整えることができます。この記事を参考に、まずは必要な検査から進めてみてはいかがでしょうか。

 

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監修者

塚尾 晶子

 

株式会社つくばウエルネスリサーチ 取締役副社長/筑波大学スマートウエルネスシティ政策開発研究センターアドバイザー/保健師

 

筑波大学大学院人間総合科学研究科博士課程修了 博士(スポーツウエルネス学)/ 専門領域はスポーツウエルネス学、保健学、人間環境学、公衆衛生学。

 

旭化成株式会社での産業保健活動、日本看護協会での健康政策の厚生労働省委託事業推進や保健師現任教育、法政大学での兼任講師等を経て、現職。地方自治体、企業等のSmart Wellness City(健康都市政策)推進のコンサルティング、人材育成、国の調査研究事業等に従事し、国や地方自 治体や大学、企業と連携して健康づくり無関心層を減少させ健康格差を和らげる政策に取り組む。

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